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更新日:2023年12月8日

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与勝半島エリア

旧勝連町、旧与那城町の一部からなる与勝半島(勝連半島)。『おもろさうし』の中で「きむたか」(心豊か・気高い)と称され、大和の京や鎌倉に例えられるほど繁栄がうたわれました。

特に12~13世紀築城とされる勝連城周辺は、城主阿麻和利の時代に最盛期を迎えました。勝連城跡は、2000年に「琉球王国のグスク及び関連遺産群」の一つとして、ユネスコの世界文化遺産に登録されています。

また、沖縄最古のエイサーといわれている平敷屋エイサーは琉球王国時代から300年以上も踊り継がれており、市指定無形民俗文化財に登録されています。もずくの養殖でも知られており、沖縄県内のもずく生産の約4割を占めています。海中道路の入口があり、離島への交通の起点となっています。

与勝半島エリア わがまち再発見

勝連城跡・あまわりパーク

勝連城跡は勝連半島にある丘陵に築かれたグスクです。丘の地形を巧みに利用した姿が大きな船に例えられており、「布積み」という、切石を水平に積んだ石垣がなだらかな曲線を描いているのが特徴です。ユネスコの世界遺産「琉球王国のグスク及び関連遺産群」の一つに登録されていますが、グスクの中で海に面している場所は勝連城のみで、海を眺める絶景も見どころの一つです。

また、勝連城は、琉球王国の国王に抵抗した有力按司で、沖縄の英雄ともいわれる阿麻和利(あまわり)の居城として知られています。人々から慕われ、海外貿易によって力をつけた阿麻和利ですが、王権奪取をめざして首里城を攻めましたが大敗し、波乱の生涯を閉じました。

阿麻和利や勝連城について、沖縄の古謡をまとめた『おもろさうし』には当時の繁栄ぶりを謡ったものがたくさん収められています。それを裏付けるように、勝連城跡からは中国やその他東南アジア製の陶磁器などが多く出土しています。

勝連城跡のふもとには、複合施設「あまわりパーク」があります。勝連城跡で発掘された出土品の展示や、勝連城跡を中心とするうるま市の歴史や文化の紹介のほか、阿麻和利の物語を演技で伝えるライブパフォーマンスも行われています。イベント広場では毎年エイサーまつりが開催されるほか、子ども向けのイベントやワークショップなども随時行われています。

平敷屋エイサー

うるま市は、沖縄県内でもとくにエイサーが盛んな地域として知られています。近年では創作エイサーも人気ですが、沖縄の伝統芸能であるエイサーは古来より旧盆の最終日(旧暦7月15日)に戻ってきた祖先の霊を送り出す念仏踊りから発展したもので、うるま市には伝統を重んじ、古くからの型を守り続けるエイサーが数多く残されています。

なかでも、勝連半島の先端に位置する平敷屋に伝わる「平敷屋エイサー」は市の無形民俗文化財であり、県内でもっとも古い歴史を持つ青年会です。200年以上の歴史があり、エイサーの原型といわれています。

青年会メンバーには、祖先から受け継いだエイサーを次世代につなぐ強い想いがあり、一糸乱れぬ足の運びやばちさばきは、静の中にも圧倒的なすごみを感じさせます。その勇姿は東京2020オリンピック開会式でも披露され、全世界にその存在感を示しました。

平敷屋エイサーは一つの青年会の中で東西に分かれているのが特徴で、「東のエイサーは男性的な踊りで力強く、西のエイサーは女性的な踊りでしなやか」といわれています。ですが、青年会加入者の減少により、2022年、2023年は合併しての演舞となりました。青年会会員は高校生から25歳以下の地域住民のみで構成されており、練習の厳しさやライフスタイルの変化などから会員が急減している現状があります。一方で、平敷屋エイサーの伝統を守りたいという会員や市民の想いも強く、現代社会で伝統芸能を受け継ぐための方策が模索されています。

肝高の阿麻和利

「肝高(きむたか)の阿麻和利(あまわり)」は、うるま市の中高校生が出演する現代版組踊です。沖縄に古くから伝わる伝統芸能「組踊」をベースに、現代音楽とダンスを取り入れ、勝連城10代目城主「阿麻和利」の半生を描いた、いわば「沖縄版ミュージカル」。出演する役者やダンス、伝統芸能を演じるアンサンブル、歌や演奏を担うバンドもすべて地元の子どもたちが担う、画期的な舞台演劇です。

2000年に勝連城跡で行われた初回公演には150名が出演、観劇者数は2日間で4,200人に及びました。公演は1回限りの予定でしたが、出演した子どもたちが再演を願う嘆願書を教育委員会へ提出したことで再演が決定、現在まで受け継がれています。公演回数は350回を超え、東京国立劇場での公演やハワイ公演なども実現。観客動員は延べ20万人に及びます。

「肝高の阿麻和利」の活動は、子どもたちの学びやふるさとの再発見、地域活性化にもつながっています。これら一連の活動が評価され、日本ユネスコ協会連盟の第一回プロジェクト未来遺産に登録されるなど、数々の賞を受賞しています。

初代演出家の平田大一さんの指導のもと、試験や部活動と両立しながら、週二回の稽古のためにきむたかホールに集まる子どもたちの姿は、立ち上げから20年以上が経った今でも変わりません。現在では平田さんのもとで活動に取り組んだ子どもたちが大人になり、今の子どもたちに指導をしています。未来を作り、育む教育がここに実現しているのです。